美容室の材料費を削減するには|メニューと在庫の整え方

美容室の材料費を削減するには|メニューと在庫の整え方

「材料費を下げたいのですが、どこから手をつければいいでしょうか」

サロン様からよくいただくご相談です。多くの場合、まず仕入れ値の交渉や、安い商材への切り替えを考えられます。それも一つの方法ですが、私たちがサロン様とご一緒してきた中では、材料費が下がらない理由は仕入れ値よりも、メニューと在庫の「数」にあることのほうが多くありました。

この記事では、メニューが増えていく仕組み、使われない在庫が貯まる理由、そして何をやめるかの決め方を整理します。

  • 材料費は、メニューの数と一緒に増える。仕入れ値の交渉だけでは下がりきらない
  • メニューが増えるのは、商品から先に入れるから。使われない在庫は、確かめる前に入れたときに貯まる
  • 直し方は、並べて見る → やめるものを決める → 在庫の持ち方を変える、の3段階

材料費が下がらないお店に共通すること

まず、ご相談をいただくときによく見られる状態から整理します。

仕入れ値の交渉だけでは、下がりきらない

同じ商材を少し安く仕入れられれば、材料費はその分だけ下がります。ただ、それで下がるのはいま使っている商材の単価だけです。

棚を見せていただくと、同じような用途の商材が何種類も並んでいて、それぞれが少しずつ減っている、ということがよくあります。この状態のまま単価を下げても、種類の多さはそのまま残ります。

材料費は「メニューの数」と一緒に増える

メニューが一つ増えると、そのメニューのための材料が一つ増えます。仕上げ用、前処理用、ホームケアのご案内用と、一つのメニューに複数の商材がつくことも珍しくありません。

そしてメニューは、足すことはあっても、減らすことはあまりありません。材料費が少しずつ上がっていくお店は、多くの場合メニューも少しずつ増えています。材料費を見るときは、材料の一覧と一緒にメニュー表を並べていただくのが近道です。

メニューが増えるのは、商品から先に入れるから

この章の要点
新しいメニューの多くは「このメニューが必要だ」ではなく「この商品がいい」から始まります。入口が商品だと、メニュー表の全体を見ないまま足されていきます。

新しいメニューは、こうして生まれる

よくある流れはこうです。仕入れ先から新しい商材の紹介を受ける。良さそうなので試してみる。せっかくなので新メニューとして打ち出す。

一つひとつは前向きな判断です。ただ、この流れのどこにも「今あるメニューとのバランス」を確かめる場面がありません。既存のメニューとの違いを、スタッフ様がお客様に説明しきれないまま、メニュー表に一行が増えます。

仕入れ先が複数あると、それぞれが足していく

仕入れ先が一社であれば、まだ全体を見渡せます。複数の仕入れ先とお付き合いがあると、それぞれが自社の商材をもとに提案をしますから、メニュー表の違う場所に、違う会社の提案が差し込まれていきます。

これは、提案する側である私たちディーラーの責任でもあると考えています。

板場 宣幸

板場の視点
サロン様のメニューは、ディーラーが「これいいですよ」とご提案して、今あるところに入れていただく形で増えていきます。いくつものディーラーがそれぞれ差し込めば、今までのバランスが崩れます。商品ベースで差し込むと、すごく混乱を呼んでしまう。そこは私たちが気をつけないといけないところです。

不良在庫は、確かめる前に入れたときに貯まる

この章の要点
棚に残る商材の多くは、良さを自分で確かめる前に入れたものです。入れる前に一度試すだけで、残る在庫はかなり減らせます。

棚に残りやすい商材の共通点

使われないまま棚に残っている商材を一つずつ伺っていくと、入れたときの経緯が似ていることに気づきます。人から勧められた、お付き合いで一度入れてみた、評判を聞いた。入れた理由が「自分で使ってみて良かったから」ではないものが多いのです。

自分で良さを確かめていない商材は、スタッフ様もお客様に自信を持ってご案内できません。ご案内されないので減らない。減らないので、次の発注のときにも棚に残っています。

板場 宣幸

板場の視点
美容ディーラーを長くやっていると、不良在庫が一つ貯まる理由はだいたい同じだと分かります。「いい」と言われたら「いいんだろう」で、自分で良さを確かめずに、まず入れる。ここから貯まっていきます。

入れる前に、自分で試す

対策はシンプルで、入れる前に、まずオーナー様やスタッフ様ご自身で試していただくことです。サンプルをもらう、少量から始める、実際に施術で使ってみる。そのうえで、どのメニューのどの工程で使うのかが言葉にできたものだけを入れます。

「どこで使うか」が言えない商材は、入れても棚に残る可能性が高いと考えてください。

直し方① メニューと在庫を並べて見る

ここからは、すでに増えてしまったメニューと在庫を整える手順です。まずは現状を一枚にまとめるところから始めます。

メニューごとに、使う材料を書き出す

メニュー表の一行ずつに、そのメニューで使う材料を書き出していきます。すると、ほとんど同じ材料を使っているメニューが複数あることや、一つのメニューのためだけに置いている材料があることが見えてきます。

あわせて、そのメニューが実際にどれくらいご利用されているかも並べてください。ご利用が少ないメニューのためだけに置いている材料は、真っ先に見直しの対象になります。

前回の棚卸しから、一度も動いていないもの

在庫のほうは、前回の棚卸しから一度も使っていないものに印をつけます。期限のある商材であれば、期限も一緒に書いておきます。

印がついたものについて、「なぜ入れたのか」「いまどのメニューで使う予定なのか」を一つずつ確かめます。答えが出ないものは、次の章で「やめる」候補になります。

直し方② やめるものを決める

この章の要点
足すときと同じだけ、やめる判断をする。メニューも材料も、減らすと決めない限り減りません。

残すメニューの決め方

やめるものを決めるには、先に「残すものの基準」を決めておく必要があります。私たちがおすすめしているのは、時間・コスト・単価の3つから考える方法です。このくらいの時間で、このくらいのコストで、このくらいの単価をいただくメニューにしたい。その基準に合わないメニューが、見直しの候補です。

この考え方は、美容室の仕入れ先の選び方|替える前に決める3つでも詳しく触れています。

板場 宣幸

板場の視点
メニューが増えて、どこに入れたらいいか分からなくなっているサロン様は少なくありません。だからこそ、勇気を持って「こっちはやめましょう」と言うことも必要だと思っています。

やめると決めたら、伝える順番を決める

メニューをやめるときは、まずスタッフ様に理由を共有し、そのうえで、そのメニューをご利用いただいているお客様に担当者からお伝えする。この順番が大切です。

代わりにどのメニューをご案内するのかまで決めてからお伝えすると、お客様にとっては「なくなった」ではなく「こちらに変わった」になります。

直し方③ 在庫の持ち方を変える

メニューを整理したら、最後に在庫の持ち方を見直します。ここを変えないと、しばらくするとまた同じ状態に戻ります。

用途が重なる商材を一本にする

メニューの整理で見えてきた「ほとんど同じ用途の商材」は、どれか一つに絞れないかを検討します。カラー剤のように色数が多いものほど、種類と在庫は増えやすくなります。よく使う色と、ほとんど使わない色を分けて持ち方を変えるだけでも、棚は整いやすくなります。

使っていない在庫の扱いは、仕入れ先とのお取り決めによって変わります。まずは仕入れ先にご相談ください。

発注の担当と基準を決める

在庫が増える原因の一つは、発注する人が決まっていないことです。気づいた人がそれぞれ発注すると、同じものが重なって届きます。

発注の担当者を決め、「この量を下回ったら発注する」という基準を商材ごとに決めておく。在庫管理の方法としては地味ですが、誰が、いつ、どれだけ頼むのかが決まっていることが、いちばん大切です。当社のディーラー事業の考え方はディーラー事業のページに記載しています。

まとめ|材料費は「数」を減らすと下がる

材料費を下げようとすると、つい一つひとつの値段に目が行きます。ですが、私たちがご一緒してきたサロン様では、メニューと在庫の数を減らしたときのほうが、はっきり材料費が整っていきました。数が減ると、スタッフ様のご案内もしやすくなります。

明日からできること

  1. メニュー表の一行ずつに、使う材料を書き出す
  2. 前回の棚卸しから一度も動いていない在庫に印をつけ、入れた理由を確かめる
  3. 時間・コスト・単価の基準を決め、合わないメニューを一つだけ選んでみる

まず一つだけ、やめる候補を決めてみてください。それが見えると、残りの整理も進めやすくなります。一つの考え方として、お役に立てば幸いです。

よくあるご質問

Q
材料費率の目安はどのくらいですか
A

一律の目安はお出ししていません。どのメニューが多いか、店販をどのくらい扱っているかによって、お店ごとに大きく変わるためです。他店の数字と比べるより、ご自身のお店の数字が前の月、前の年と比べてどう動いているかを見ていただくほうが、打ち手につながります。

Q
仕入れ先を一社にまとめれば、材料費は下がりますか
A

まとめること自体よりも、メニュー全体を見たうえで提案してもらえるかどうかが大切だと考えています。仕入れ先が一社でも、商品から先に差し込まれていけばメニューは増えます。どんな基準で提案してもらうかを、先に決めておくことをおすすめします。

Q
使っていない在庫は、どうすればいいですか
A

まずは、その商材をどのメニューで使えるかを一度考えてみてください。使いどころが見つからない場合は、仕入れ先にご相談ください。扱いはお取り決めによって変わります。そのうえで、同じ理由で次の在庫を増やさないよう、入れる前に試す流れを作っておくことが大切です。

ご相談ください

私たちは大阪・兵庫を中心に、美容室様への商材のご提案と、メニュー設計・セミナー・オリジナル商品の制作をお手伝いしている美容ディーラーです。

「材料費を見直したいが、何から手をつければいいか分からない」という段階のご相談を、いちばん歓迎しています。商材を増やすご提案ではなく、メニューと在庫を並べて、やめるものを一緒に決めるところからご一緒させてください。

お問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。


本記事は美容室・サロン運営者の方に向けたものです。記載の内容は当社がこれまでサロン様とお取り組みしてきた経験に基づく一つの考え方であり、すべてのサロン様に当てはまるものではありません。メニューや仕入れの判断はサロン様ご自身でお願いいたします。

板場 宣幸

監修者|板場 宣幸(いたば のぶゆき)
株式会社フレンドシップリング 代表取締役

美容ディーラー歴20年以上。前職では担当100店舗・のべ150店舗のサロン様を担当し、2020年4月に独立、2022年8月に株式会社フレンドシップリングを設立しました。商品をご紹介するだけでなく、メニューの組み方・価格の決め方・スタッフ様への説明の作り方まで含めて、サロン様の現場に入っています。セミナーの企画と登壇も行っています。

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