
「良い商品だと思って入れたのに、気づいたら誰も出していない」
前処理剤や業務用のシリーズを導入されたサロン様から、いちばん多く聞く話です。私たちは同じ商品を複数のお店に納品してきましたが、同じ商品でも、カラーのお客様のほとんどが移行したお店と、1割で止まったお店がありました。
違いは商品ではありませんでした。いくら乗せるか、誰がどう説明するか、POPを使うか — その3つを最初に決めたかどうかでした。
この記事では、美容ディーラーとして20年、導入とその後を実際に見てきた立場から、前処理剤の選び方と、入れたあとに定着させる手順を整理します。当社が取り扱っているNOTTOシリーズについては、シリーズの違いを最後にまとめています。
この記事の要約
- 前処理剤が定着しないのは、商品選びではなく「値付け・説明・POP」を決めていないから
- 決める順番は、価格 → 説明の担当 → POP。逆にすると崩れる
- 導入店の実例:プラス500円・初回は説明つきで無料にしたお店はカラーのお客様の100%が移行。1,000円以上を乗せて説明が少なかったお店は10%で止まった
こんなサロン様へ
- カラーやパーマの前処理剤を入れたが、出しているスタッフが一部で止まっている
- メニュー表には載せたものの、ほとんど動いていない
- これから前処理剤を入れたいが、いくら乗せるかを決められていない
- メーカーの説明は聞いたが、導入したあとどうなるかが分からない
前処理剤が定着しない3つの理由
定着しなかったお店は、商品ではなく決めていないことが同じでした。値付け・説明・POPの3つです。
私たちが納品したあと、半年後に「まだ出ていますか」と伺って回ると、結果はきれいに二極化します。定着しなかったお店に共通していたのは、次の3つでした。
- 値付けを先に決めていない
- 説明する人が決まっていない
- お店の強みのメニューになっていない
値付けを先に決めていない
いちばん多い失敗がここです。商品の原価から逆算した金額と、お客様がその場で「お願いします」と言える金額は、別物です。原価から決めた金額をそのまま乗せると、お客様にとっては「一度考える金額」になります。
実際に、カラー料金に1,000円以上を乗せて実施されたお店では、カラーのお客様のうち10%しか定着しませんでした。同じ商品を、プラス500円の選択メニューとして置いたお店では、カラーのお客様の100%が移行しています。
板場の視点
プラス1,000円は、お客様にとって「検討する金額」になります。プラス500円は「じゃあお願いします」の金額でした。商品は同じで、そこだけが違いました。
説明する人が決まっていない
「スタッフ全員に共有しました」で終わっているお店は、ほぼ定着しません。全員の仕事は、誰の仕事でもないからです。忙しい日に真っ先に落ちるのが、この説明の工程です。
定着したお店は、最初のひと月だけでも「誰が」「どのタイミングで」言うかを決めていました。カウンセリングの最後なのか、シャンプー台に移る前なのか。それだけで結果が変わります。
お店の強みのメニューになっていない
「流行っているから入れる」で入れたものは、流行が変わると止まります。定着したお店は、そのメニューを自店の売りとして打ち出していました。
私たちは商品を売る立場ですが、それでも「今は入れないほうがいい」と申し上げることがあります。入れた数ではなく、続いた数でしか、私たちの仕事は評価されないからです。
板場の視点
「入れましょう」と同じだけ「やめましょう」を言うのが、私の仕事だと思っています。
前処理剤を選ぶときに見る7つの点
比べるべきは成分の細かさより、自店のオペレーションに乗るかどうか。7つに答えられれば導入は判断できます。
商品そのものの比較よりも先に、サロンの現場に乗るかどうかを見てください。私たちが導入のご相談をいただいたときに、必ず一緒に確認している7つです。
- 工程が何ステップ増えるか
- 既存メニューのどこに挟むか
- 施術時間が何分増えるか
- お客様がその場で分かる変化があるか
- 取り扱いの注意を確認できるか
- デメリットを説明してくれる相手から買っているか
- 導入後にPOPや資料が出てくるか
工程が何ステップ増えるか
手順が何段になるかを、導入前に紙で見ておいてください。たとえばNOTTO HDのホームケアは、シャンプー、流し、トリートメント、ミスト、クリーム、ドライの6ステップで組まれています。サロンでの工程も同じで、増える段数が分かっていれば、朝礼で共有できます。
既存メニューのどこに挟むか
新しいメニューを1本増やすのか、いまのメニューの中に組み込むのか。ここを決めずに入れると、スタッフによって出す場所が変わり、お客様への説明も揃わなくなります。
施術時間が何分増えるか
回転数に直接効くところです。時間が読めていないと、忙しい日に外されます。★要出典:Tシリーズの標準的な工程時間(メーカー資料の受領後に記載)
お客様がその場で分かる変化があるか
お客様がご自身で違いを感じられないメニューは、2回目から選ばれません。これは商品の良し悪しではなく、続くかどうかの話です。選ぶ段階で、この基準を一度当ててみてください。
取り扱いの注意を確認できるか
どんな場合に使わないか、肌や頭皮に異常があるときはどう扱うか。ここを即答できない相手から買うと、現場で判断できません。導入前に必ず確認してください。
デメリットを説明してくれる相手から買っているか
良いところしか言われない商品は、現場で必ず想定外が出ます。私たちは、扱っている商品について事前にお伝えすべきことがあれば、必ず先に申し上げています。
板場の視点
Tシリーズは、施術中にむせる方がいらっしゃいます。それを言わずに納品したことは一度もありません。先に言っておけば、現場で慌てずに済みます。
導入後にPOPや資料が出てくるか
納品して終わりか、その後の資料が出てくるかで、定着率が変わります。定着しなかったお店の共通点のひとつが、POPの活用がほとんどなかったことでした。
入れたあとに定着させる3つの仕組み
再現性があったのは3つだけでした。共通しているのは初回は売らないことです。
ここからは、実際に定着したお店がやっていたことです。特別なことは1つもありません。
- プラス500円の選択メニューにして、初回は説明つきで無料にする
- 料金改定のタイミングに合わせて、メニュー料金に組み込む
- 2回目から選択式にする
プラス500円の選択メニューにして、初回は説明つきで無料にする
いちばん再現性があった形です。初回は無料で、必ず説明とセットで体験していただく。2回目から選択式にすると、お客様は「知っているもの」を選ぶことになります。このお店では、カラーのお客様の100%が移行しました。
料金改定のタイミングに合わせて、メニュー料金に組み込む
料金を見直す予定があるお店では、選択式にせず、メニュー料金に組み込んで一律で500円上げた例があります。結果として、リピートのお客様も全員そのまま続けてくださっています。値上げだけを単独で行うより、増えた内容とセットのほうがお客様に伝わります。
2回目から選択式にする
1回目は体験、2回目から選んでいただく。この順番を守るだけで、説明の負荷が大きく下がります。初回に選ばせようとすると、スタッフが売り込む形になり、続きません。
何から決めるか
順番は、商品より先に価格・工程・時間。入れたあとは移行率とリピート率の2つだけを見ます。
決める順番があります。ここを逆にすると、あとから全部やり直しになります。
- 商品より先に、価格・工程・時間を決める
- 入れたあとは、移行率とリピート率の2つだけ見る
商品より先に、価格・工程・時間を決める
先に商品を決めると、値付けが原価からの逆算になります。先に「いくらで、何分で、どこに挟むか」を決めてから商品を選ぶと、条件に合わないものが自然に外れます。私たちがご相談を受けたときは、商品カタログを開く前にこの3つを伺っています。
入れたあとは、移行率とリピート率の2つだけ見る
カラーのお客様のうち何割が移行したか、そのうち何割が2回目も選んだか。この2つだけで、定着しているかどうかが分かります。実例で言えば、100%移行したお店と、10%で止まったお店がありました。同じ商品です。
シリーズ別ガイド|NOTTOの4系統は「ベースの水」が違う
NOTTOの系統はベースになっている水で分かれます。名前が似ているので、事実だけ整理します。
当社が取り扱っているNOTTOシリーズは、ベースになっている水で系統が分かれています。名前が似ているため混同されやすいところなので、事実だけ整理します。
- NOTTO:ウルトラファインバブル炭酸水がベース。オープン商品
- NOTTO OG:還元水(ウルトラファインバブル水)がベース。オープン商品
- NOTTO HD:ウルトラファインバブル水素がベース。契約商品
- NOTTO Tシリーズ(T-1 UFM/T-2/T-3/T-4):業務用。契約商品
シリーズ名に使われている4つの要素は、U がウルトラファインバブル、R が還元水、M がウルトラファインミネラル、H が水素です。メーカーは株式会社マーキュリーコスメティック(神奈川県横浜市神奈川区台町7-2-506)です。
当社はNOTTO HDの正規代理店として、メーカー公式サイトの代理店一覧に掲載されています。
ホームケアの使い方については、メーカーから「びちょケアレシピ」という手順書が出ています。トリートメントを流したあと、濡れた髪のままミストとオイルまたはクリームを重ねる4ステップで、髪質や仕上げたい質感ごとに8通りの組み合わせが指定されています。店販でお渡しするときに、この紙を一緒に渡すかどうかで使われ方が変わります。
まとめ
前処理剤や業務用シリーズの導入で結果が分かれるのは、商品の差ではなく、入れる前に決めたことの差です。順番だけ間違えないでください。
- 商品を選ぶ前に、価格・工程・時間を決める
- お客様が「その場で選べる金額」に置く
- 説明する人とタイミングを、最初のひと月だけでも決める
- 入れたあとは、移行率とリピート率の2つだけ見る
よくある質問
切り替えをお勧めしないこともあります。判断するのは商品ではなく、いまのメニューをお客様が選べているかどうかです。1割の方しか選んでいない状態であれば、商品を変えるより、値付けと説明の設計を見直すほうが先です。
シリーズによって異なります。NOTTOとNOTTO OGはオープン商品、NOTTO HDは契約商品です。
本記事では、試験データを根拠にした数値は掲載していません。当社が自ら根拠資料を確認できたことだけを書く方針のためです。使い方・工程・シリーズの違いと、実際に導入されたサロン様のメニュー設計についてお伝えしています。
本記事は美容室・サロン運営者の方に向けたものです。商品の効果や効能を保証するものではありません。記載の内容は当社が確認できた事実および導入事例に基づいています。
導入のご相談、シリーズの比較についてのお問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。
この記事を書いた人|板場 宣幸(いたば のりゆき)
株式会社フレンドシップリング 代表取締役。美容ディーラー歴20年。前職では担当100店舗、のべ150店舗のサロン様を担当。2020年4月に独立し、株式会社フレンドシップリングを設立。
